退職金 の積み立てはどの制度がいいか

退職金 は積み立てをしておくことが重要です。私の医療法人の場合、前院長のための退職金の積み立てがなく、退職時に多額の借金が必要でした。退職金の積み立てにはたくさんの制度があるため、制度ごとの特徴やメリット・デメリットをおさえておくことで、自社や自分に合っている制度を選択することができます。この記事では「退職金」に関わる代表的な制度を比較してみようと思います。

退職金 の画像

退職金 に関して

退職金制度の分類

退職金制度とは、従業員が退職時に受け取る資金準備の仕組みで、大きく「共済型」「企業年金型(確定給付型/確定拠出型)」などに分類されます。共済型は掛金を出し合う方式で、企業年金は企業や従業員が拠出し運用します。

制度導入時の検討ポイント

  • 掛金の負担と節税効果:掛金が全額損金算入できるか。
  • 役員の加入可否:経営者自身も準備できるか。
  • 運用の責任:自社で運用/基金に任せるなど。
  • 税制優遇:掛金時・運用時・受取時の税メリット。

退職金積立制度を比較 ( 企業型DC選択型 ・ はぐくみ基金 ・ 中退共 ・ 小規模企業共済 )

企業型DC(確定拠出年金)

企業が掛金を負担し、従業員自身が運用する仕組みです。掛金は月3,000円~最大55,000円など柔軟で、運用益は非課税、受取時にも税制優遇があります。

はぐくみ企業年金(はぐくみ基金、確定給付企業年金)

企業年金基金へ掛金を支払い、元本保証のもとで将来に備える仕組みです。掛金1,000円から給与20%(上限は40万円/月)と柔軟で、休職や介護時にも給付可能。元本が確保される点も特徴です。

中小企業退職金共済(中退共)

中小企業向けの共済制度。掛金5,000円~30,000円の16段階設定で、全額損金扱い、国の助成制度がある場合もあります。ただし役員は原則加入不可です。

小規模企業共済

主に自営業者や小規模企業の経営者・役員向けの共済型制度。掛金は個人負担ですが、全額所得控除対象になるという税制上の大きなメリットがあります。

基本比較

制度ごとの特徴と従業員・役員利用可否

制度役員利用可否従業員利用可否備考
企業型DC(選択型)原則可(規約で対象に含めれば)掛金上限あり、60歳まで引き出せない
はぐくみ基金(DB型)可(企業が加入し規約で役員対象可)制度加入条件は企業単位で設定
中退共一部可(法人役員は対象外のケース多い)常勤役員は原則加入不可、ただし兼務役員で従業員性あれば可
小規模企業共済可(経営者・役員本人向け)不可(従業員は加入できない)役員・個人事業主専用制度

この表は、制度によって経営層も含めて制度利用できるかどうかを示しています。自社の構成に応じて選びたい制度が変わります。

企業の立場からの評価

  • 企業型DC:柔軟な掛金設計・社会保険料対策にも活用でき、税制メリットあり(掛金全額損金、運用益非課税)。
  • はぐくみ基金:元本保証・休職時にも給付・社会保険料軽減など運用負担が少ない。導入には事務費が必要だが、採用・福利厚生面で有利。
  • 中退共:導入が簡単で、助成制度もあり制度運営が安定。掛金負担も分かりやすい反面、柔軟性や役員利用の点では制限あり。

各制度の比較

制度企業から見たメリット企業から見たデメリット
企業型DC(選択型)- 社保負担軽減(選択型の場合)- 掛金全額損金- 福利厚生として魅力- 教育・運営の手間- 元本割れ時の不満リスク- 導入コスト
はぐくみ基金(DB型)- 社保負担軽減- 安定運用でリスク管理容易- 掛金全額損金- 利回りが低い- 基金運営に依存
中退共- 国運営で信頼性高い- 事務手続きが簡単- 途中解約不可- 問題社員にも支給義務- 掛金上限が低い
小規模企業共済- 経営者自身の退職金確保- 掛金全額損金(法人負担時)- 従業員には使えない- 解約時期を誤ると元本割れ

従業員の立場からの評価

  • 企業型DC:運用次第でリターンが期待できる一方、元本リスクや投資知識が必要になる点は注意。
  • はぐくみ基金:元本保証で運用手間が少なく、制度設計により非正規でも加入可能などメリットが多い。
  • 中退共:計画性のある受給設計が可能で、運用リスクが低いため安心感があるが、リターンは低め。

各制度の比較

制度従業員から見たメリット従業員から見たデメリット
企業型DC(選択型)- 投資で増やせる可能性- 掛金は課税前拠出- 運用は自己責任- 元本割れの可能性- 60歳まで引き出せない
はぐくみ基金(DB型)- 将来の給付額が安定- 運用リスクなし-働き方や生活状況に応じて掛金を柔軟に選択可能- 増える期待は低い- 制度改定リスクあり
中退共- 国制度で安心- 他社転職時も通算可- 利回りが低い- 制度改定時の柔軟性低い
小規模企業共済- (加入不可)- (加入不可)

掛金の下限・上限一覧

  • 企業型DC:事業主掛金+選択型の給与振替分の合計で上限が決まる。制度導入時に規約で掛金額や見直し方法を定める必要がある。
  • はぐくみ基金:個々の社員で金額を変えることが可能。金額の変更も行いやすい。上限額が圧倒的に高い。
  • 中退共:掛金減額は原則できず、経営悪化など特別な理由が必要。増額は可能だが年1回の時期に限られる。
  • 小規模企業共済:掛金変更の柔軟性は高いが、短期間で解約すると元本割れする場合がある。

各制度の比較

制度下限額上限額備考
企業型DC(選択型)月額5,000円程度(事業主掛金+給与振替分を合わせて)月額55,000円(企業型DCの上限/他制度併用時は調整あり)上限は税法で規定。企業型DCと他制度(iDeCo等)を併用するとさらに制限される
はぐくみ基金(DB型)月額 1,000円月額 給与または報酬の20%、かつ上限40万円各従業員が自分で掛金を決めることができる
掛金の変更は年に2回可能
中退共月額5,000円月額30,000円(500円単位で設定可)掛金変更は年1回。減額は条件あり(経営悪化等)
小規模企業共済月額1,000円月額70,000円掛金額は自由に増減可能(ただし途中解約は条件付きで元本割れリスクあり)

総合評価(役員・企業・従業員の視点混合)

役員・企業・従業員の各立場から総合的に見ると、

  • 役員の退職金準備
    • 小規模企業共済 がシンプルで税制優遇大。ただし元本増加はほぼないため、投資要素を加えるなら企業型DC併用。
    • はぐくみ基金 に役員も含める設計も可能(ただし利回り低め)。
  • 企業としての福利厚生充実
    • はぐくみ基金 は運用リスクがなく、従業員の不満が出にくい。
    • 企業型DC(選択型) は社員の資産形成意欲を高められるが、投資教育が必要。
  • 従業員の満足度重視
    • 安全志向の社員が多い場合は はぐくみ基金
    • 投資志向が高い場合は 企業型DC
  • 制度の柔軟性・企業負担のバランス
    • 中退共 は事務負担が少なく導入は容易だが、途中解約不可や問題社員への支給義務など、長期運営上のリスクがある。

私の場合

  • 医療法人ではぐくみ基金
  • 株式会社で小規模企業共済+企業型DC or はぐくみ基金

まとめ

この記事では「 退職金 」の準備に関わる4つの代表的な制度を、役員の加入可否、企業視点、従業員視点まで含めて整理しました。制度選びでは「誰を対象にしたいのか」「元本保証かリターン重視か」「導入の手間」など条件を明確にすることが大切だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA